哀しみと出逢う

 このコラムは、和歌山新報にて毎月連載しているものの中からお伝えしていきます
[2010.7月掲載]

ある時夢を見ました。

「私の哀しみ」というワークショップをやっている夢でした。

そこでは、泣きながら洗濯をしている女性やりんごの皮をむきながらぶつぶつと愚痴を言い続ける女性、部屋中を転げまわって嫌だ、嫌だと叫んでいる女性などあらゆるネガティブなことを思いつくままにやっていて、そこで行っている女性はある時には私であり、またある時にはまったくの他人でした。

そんな暗いことをやっているのに、私は夢の中でとても高揚し、どんどん元気になっていくところで目が覚めました。

起きてからもその時の事を鮮明に覚えていて忘れることができなくなり、後向きな事を、制限かけずに思いのままやり続けると、ワクワクしてくるものなのだ、とそのとき夢に教わりました。

 しかし普段なら「哀しみ」というネガティブな感情にアクセスするワークショップはファシリテーターとして敬遠します。

今回の私のようにやり終わった後に元気になればいいのですが、もっと哀しくなってその感情から抜け出せなくなったらどうしようと考えてしまうからです。

それからしばらく経ちました。

そして、先月、関東で行うワークショップ企画として友人のミュージシャンと共に内容を考えていた時、ふとこの夢のことを思い出しました。
話してみると是非やってみたいと言ってくれて、私も、音楽と一緒なら大丈夫かもしれないと思い、やってみることにしました。

タイトルは「私の哀しみに出逢う」です。
7月の始めに横浜のとある街で行いました。

当日の参加者は学生から大人まで年齢幅は大きく、その生活スタイルも様々なようでした。
いくつかの互いを知る活動を経て、動き、音、言葉の側面で感情を表現する活動を行い、いよいよ最後の「哀しみ」についての活動です。

それまでは個人の表現に焦点を当てていたのですが、最後の活動では2人組みになり、2人が感じる「哀しみ」をオリジナルで創り、表現することにしました。
年齢も生活も違う今日初めて出会った二人が、それまでの人生経験を土台に普遍的な「人の哀しみ」を思い切り表現し終わったとき、参加者全員がすがすがしい顔になっていました。

私は夢の続きを経験しているようで胸がいっぱいになりました。



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