アートの効用ってなんですか?

一昨年から関東の仲間とArt Based Education[ 通称ABE]の研究会を行なっています。

世の中が目まぐるしく変化し多様化になっている中で生きるには、

新しい観点で物事を捉える柔軟性や自分なりの物の見方を育てることは不可欠であり、

それには自分にとっての美しいと感じる観点や遊び心、発想力を育てることが必要である、

すなわちアート的な観点を育てることが必須である、という考え方の元、

アートを教育活動や企業研修などでどう活用できるかを考えて実践する会です。

 

今までは私や身体表現を専門にした仲間がそのコンテンツを考えていましたが、

昨年からゲスト講師をお呼びして体験し振り返ることもやっています。

昨年仲間の一人がイギリスで行われた企業経営におけるアートの牽引力についての学会に出席した際、

ハーバード大学で企業経営のリーダーシップ養成プログラムで行われる抽象画を描く経験をして来ました。

それは「創造的破壊」がテーマで自分の創作したものを

いかに壊し続けて新しいものを生み出せるかというプロセスだったそうです。

ちなみのその学会ではアジアからは日本人である友人と大学の先生の二人だけだったそうで、

アートと企業経営を結びつける考え方は今はまだヨーロッパが主流なようです。

 

 さて、今回ABEでは昨年お呼びした抽象画を描かれている田島環さんを再びお迎えして、

抽象画を描く体験を通して学びを考える会を行いました。

水でたっぷりとぬらした紙に絵の具を垂らしてそのにじみや色の混ざりで描いていく作業です。

筆は使いません。何か特定のものをイメージして描くのとは違い、

自分ではコントロールできないものを受け入れて作業を重ねていくのです。

 

昨年は本当に楽しい活動だったのですが、今年はなぜか私はこの作業が辛くて嫌になってしまいました。

絵を描くことは本来好きなのに、どれだけやっても終わりが見えないことにいらだってしまいました。

活動終了後のふりかえりで、正直にその話をすると、田島さんは

「何にもやらなきゃよかったのよ。作業以外の時間も絵にとっては重要なのですよ」と話されました。

そこではっとしました。

普段自分の朗読や表現の場でも、何を受け取るかという受信も大切なのですよ、

やることが全てではありませんよ、と話しているのに、

他の分野になった途端終わりの見えない作業が辛くなってしまったのでした。

 

そういえば田島さんは作業中何度も私を含めたみんなに

「少し待ってください。離れて眺めてください。しばらく時間をおいてください」

と繰り返し話されていましたが、わたしの耳には入って来ませんでした。

 

この経験はとても貴重なものでした。

アートをやって何を得られるのですか、という効果についての質問が時々あります。

しかし、ひょっとしたらアート活動をすることで何を得られるかではなく、

こういった自分と向き合う時間に身を置くことそのものを経験することなのかもしれない

とあらためて思いました。

今後のABEの活動はこちらをクリックしてください


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